file09 伊藤學人氏(第26回全国菓子大博覧会・広島実行委員会事務局 事務総長)

第26回全国菓子大博覧会・広島実行委員会事務局 事務総長。 「ひろしま菓子博2013」は2013年4月19日(金)〜5月12日(日)24日間開催。広島総合卸センター理事長、広島商工会議所副会頭、イトー社長。1973年慶応義塾大学経済学部卒業。商工組合中央金庫に勤務し、77年伊藤砂糖(現イトー)に入社。専務、副社長を経て、90年社長に就任。2005年から総合卸センター副理事長、07年から広島商工会議所副会頭。

笑顔をむすぶお菓子のちから

社員O

「ひろしま菓子博2013」もいよいよ間近に迫りました。今回のテーマ「世界に届け!笑顔をむすぶ お菓子のちから」には、どのような想いが込められているのでしょうか。

伊藤

たとえば家族団欒などお菓子のある場面には常に笑顔が絶えないように、お菓子には「笑顔をむすぶ機能」があるんだと思います。そのようなお菓子の持つ心和らぐ魅力をぜひ皆様に知っていただきたいです。また、広島といえばやはり平和。個人の解釈は様々あると思いますが、お菓子に満ち溢れた会場全体の和やかな雰囲気を通じて、平和都市広島を実感していただくとともに、世界に向けて発信していければと考えています。

社員O

開催に当たり一番苦心したことは何でしたか。

伊藤

滅多にない機会ということで皆様が本当に協力的で、苦労という苦労はなかったのですが(笑)。強いてあげるなら、実行委員会立ち上げの際、事務局の人員が不足したことくらいです。事務局の構成員について、当初の取り決めでは広島県、広島市、広島県菓子工業組合から各5名ずつ常駐の職員を派遣することにしていました。菓子組合でもなんとか4人までは集めることができたのですが、あと1名常駐できる者が見つからず、どうしたものかと思い悩んでいたところ、相談した広島銀行がすぐさま常駐職員の派遣を引き受けてくださいました。そのような経緯があったもので、市内の主要企業にも声を掛けてみたところ、なんと13社もの企業が協力してくださることになったんです。菓子博はお菓子の歴史と文化を後世に伝えるとともに、菓子業界・関連産業の振興と開催地域の活性化も目的としています。ご協力いただけるとは思っていましたが、想像以上に協力的な対応に大変ありがたく思っています。

社員O

お菓子が地域の結束も結んだといったところでしょうか(笑)。

Hint! file09 伊藤學人氏

県外観光客への魅力づくり

社員O

菓子博の広島での開催は、1921年に当時の広島県立商品陳列所(現在の原爆ドーム)で開催された「第4回全国菓子飴大品評会」以来92年ぶりだそうですね。それだけに期待も高まっています。

伊藤

そうですね。今回の総事業費16億円のうち10億円はチケット販売収入を見込んでいます。9月末時点ですでに42万枚を販売しており、目標来場者数80万人のおよそ50%を達成したことになります。ご協賛金に加え、これも商工会議所をはじめとした地元企業の協力なしには成しえなかったことです。チケットを購入していただいた方の内訳をみると、その99%が広島県内または中国地方の方。前回の姫路で行われた菓子博では、地の利があったにもかかわらず県外からの来場は1割程度でした。一方、今回の広島での菓子博では県外からの来場3割を目標にしています。一般的に、地方博では大都市圏に対する情報発信力が不足しており、全国から人を集めるという点において弱点を抱えています。そう考えると3割という数字はとても大きく、強く出すぎたかなとも感じていますが(笑)。掲げた目標を達成すべく、今は旅行代理店と組んで県外観光客に楽しんでいただける観光プランの開発に力を入れています。

社員O

現在どのようなプランが検討されているんですか。

伊藤

たとえば水上交通を利用したもの。菓子博会場から雁木タクシー(水上タクシー)で縮景園を回るプランや、遊覧船を利用して菓子博会場、原爆ドームを回り、宮島へと渡るプラン。広島東洋カープとも協力し、昼は旧市民球場で開催される菓子博、夜はマツダ スタジアムで野球観戦といったプランも検討中です。また、大手お菓子メーカーの工場見学やお菓子作り体験等も盛り込み、今各地で注目されている体感型プランも充実しています。会場を中心に広島県内を回るプランを準備することで、県外からの観光客に県下各地を巡っていただければと思っています。

社員O

本当に広島県全体で経済効果が期待できそうですね。

Hint! file09 伊藤學人氏

お菓子に感じる歴史・ロマン

伊藤

観光に関しては、県内でのおもてなしにも力を入れています。菓子博にあたり結成した「おもてなし推進団体」には現在99団体に加盟いただいています。各観光スポットでは、ボランティアガイド協会の方に観光客をご案内いただいたり、ホテルや百貨店では、開催時期に合わせてスイーツフェア等を開催する予定です。そのような活動を行うことで、広島の街全体にお菓子があふれ、お菓子で街が活気づいていると感じてもらえたら良いですね。

社員O

それが、冒頭の平和都市広島のイメージにもつながってくるんでしょうね。

伊藤

そうです。面白い取り組みとしては、頼山陽記念館からのお申し出で、頼家の書物の中に登場する当時のお菓子を菓子店と協力して再現しています。また、期間限定で菓子博会場に設けられるお茶席でも、上田宗箇流の文献に伝わるお菓子の再現に取り組み、実際に食べていただくこともできるのではないかと考えています。お菓子の歴史やロマンも一緒に味わって、楽しんでいただけると嬉しいですね。

社員O

新旧のお菓子が集う、まさにお菓子の博覧会と呼ぶにふさわしいですね。

伊藤

「お菓子のテーマ館」で一番目を引くのは、間口10m、奥行9m、実物の15分の1スケールで作られた厳島神社の工芸菓子だと思います。お菓子の歴史や由来、交流の中での伝来、関連する祭事、二十四節気にちなんだお菓子等の展示も同じパビリオンにあります。いつの世も変わることなく人々を幸せにしてきたお菓子の力を感じていただければありがたいです。

Hint! file09 伊藤學人氏

いつ来ても楽しめる仕掛け満載

社員O

今回の菓子博における見どころはどこですか。

伊藤

菓子博というと主催者側の意図が不明瞭になることも多いですが、今回は「世界に届け!笑顔をむすぶ お菓子のちから」というメッセージを「お菓子のテーマ館」で鮮明に伝えていきたいと考えています。最も圧倒されるのは、「お菓子美術館」に並ぶ全国の150点に及ぶ工芸菓子でしょうね。これほどのものが勢ぞろいするのはお菓子の博覧会以外にはありません。

社員O

とても充実した内容で一日ではとても回り切れそうにないですね(笑)。

伊藤

開催内容は毎日変わりますから、いつ来ても楽しんでいただけると思いますよ。「お菓子の学校」では、広島県内5つの専門学校の先生を毎日交代でお招きして、お菓子作り体験をする予定です。実は、スペシャルゲストとして海外の著名なパティシエによる特別プログラムも予定しているんですよ。また、小さいお子様には「夢のお菓子ランド」がおすすめです。大手菓子メーカー8社が1つのパビリオンに出展し、話題の菓子メーカーのアンテナショップのような体験メニューやゲーム等を開催します。広島ならではといえば、やはり「広島と世界のお菓子バザール」を見ていただきたいですね。ここでは、全国シェア6割を占め、生産量日本一を誇る、広島レモンを使用したレモンスイーツを試食していただくことができます。今回の菓子博開催に合わせ、県内専門学校生に考案していただいた新しいレモンのお菓子17案を、実際に開発しているところです。レモンの商品化はなかなか難しいのですが、完成度を高めていくためにもぜひ皆様にご試食いただき、ご意見をいただければと思います。

Hint! file09 伊藤學人氏

職人の日々の研鑽の積み重ね

社員O

そのような技の競い合いが、ある意味本来の菓子博の姿なのでしょうね。

伊藤

菓子博は、1911年に東京で開催された「第1回帝国菓子飴大品評会」が始まりで、その当時の菓子職人の、技術と品質を高め合うことで世界で通用するお菓子を作りたいという想いから生まれました。優秀なお菓子には皇族による「名誉総裁賞」や「内閣総理大臣賞」「農林水産大臣賞」などが授与され、全国菓子大博覧会での受賞は菓子業界の中で最高の栄誉とされています。それも一重に良いお菓子を作るための検証に他なりません。こういった職人の研鑽の積み重ねが、今や世界に誇れる日本のお菓子文化の礎を築いてきたんだと思います。

社員O

今回の菓子博をきっかけにこれから挑戦していきたいことはありますか。

伊藤

今回のように一般企業からもご出向いただいての組織作りはこれまであまりなかったことです。広島の経済団体からも全国に向けて情報を発信してくださったり、ハワイの商工会議所にもお声掛けいただき、50名もご来場いただけることになりました。今回の菓子博で培った広島の結束力を活かして、これから一層広島を活気づけていければと考えています。

Hint! file09 伊藤學人氏

2012.12 掲載

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