file22 廣瀬純氏(RCC中国放送野球解説者)

1979年生まれ。大分県出身。元プロ野球選手。2000年にドラフト2位で広島東洋カープに入団。長いモミアゲからチャーリーの愛称で多くのファンに愛された。2010年に強肩・巧打の外野手としてレギュラーを獲得し、ゴールデングラブ賞を受賞。2013年には日本プロ野球新記録となる15打席連続出塁を記録。2016年に現役引退。2017年から、RCC中国放送野球解説者として、グラウンドレベルの熱い情報をファンに届ける。

浮き沈みの激しい野球人生。それでもくらいついた。

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2016年、現役を引退されました

廣瀬

浮き沈みの激しい選手だったと思います。プロ野球の世界に入って、一軍の壁にぶつかって。一軍でプレーするために今までやってきたことやプライドを捨ててでもやらないといけないこともありましたね。そうやって新しい自分のスタイルを作って、結果にも表れた矢先にケガ。いいことも悪いことも経験させてもらった野球人生だったなと思います。

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自分のプライドやスタイルを捨てることの迷いはありませんでしたか?

廣瀬

周りの評価が気になったり、自分が信じられなくなったり、正直、打席に立つのも怖いと思うこともありましたね。ただ自分を何か変えなきゃいけない時は、今までやってきたことを全て捨ててダメだったら、野球を辞めようという覚悟は持っていました。だから16年間、プロの世界でやれたと思います。

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2010年には、キャリアハイの活躍がありました

廣瀬

外野のレギュラーを取って、打率3割、ゴールデングラブ賞もいただきました。来年も3割打てるなという自分の感覚通り、2011年もいいスタートが切れて、4月終了時点で打率がリーグ2位。これはいけると思った5 月の交流戦で肉離れをして、復帰したら打てる感覚も体も全くの別物に。そういった上手くいかない中でも、くらいついて野球をやれたのかなと思いますね。

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ケガなど気持ちが折れることはありませんでしたか?

廣瀬

諦めの悪い男なので、「なんとか復活してやろう」って思っていましたね。ただの意地なんですけど、そういう気持ちは誰にも負けないです。どうすれば生き残れるか、野球でご飯を食べていけるか。自分はセンスのある選手ではなかったので、そういうことも考えていました。だから色んな人に意見を聞きますし、新しいことにもチャレンジできる。いつでも成長するチャンスはあると思います。

Hint! file22 廣瀬純氏

ポジションは、自分でつくる。

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続けることの難しさはありますか?

廣瀬

プロ野球選手だけじゃなくて、学生でも会社員でも続けることは大変だと思います。ひとつ言えることは、人に言われて動く人よりも、自分で考えて動く人の方が伸びますね。それは野球だけじゃないはずです。僕たちもそうですけど、言われて「はい、わかりました」という気持ちでやっている練習は全く身にならないので。

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自分で考えて動く姿勢が大切なんですね

廣瀬

その中でわからないことを先輩やコーチに聞いて、実行して、やっと自分で納得できる感覚が生まれる。理不尽な事を言われるかもしれないけど、言われているうちは自分に対して期待を持ってくれているんだなと思っていいと思いますよ。

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競争も激しいかと思います

廣瀬

常に上を目指す世界ですからね。このぐらいでいいやと思った時点で伸びないと思います。このぐらいの仕事をしとけばいいやとか、言われたことをやっとけばいいやとかではダメ。そういうことは誰でもできるので、人と違うことをするまではいかないけども、自分が何を求められているのかっていうのを、ちゃんと理解することが大切ですね。

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弊社では「No Play, No Error. 成長は挑戦の先にある」というスローガンを掲げています

廣瀬

いい言葉ですね。僕がプロに入って変わるきっかけになった言葉が、「行動をすれば、態度が変わる。態度が変われば、言葉遣いが変わる。言葉遣いが変われば、周りが変わる」。 例えば、自分はやっていますよって言っても、周りから見たら言っているだけじゃないかってなるわけです。この言葉のように自分の言動を一から客観的に見直すと、自分が何をしないといけないかが見えてきます。

――

客観視の重要性は会社でもよく言われます

廣瀬

今の自分のポジションで何をすべきか考えないといけないんです。ベテランだからこれだけしておけばいいということはありません。ベテランだからこそ、チームを見て自分は何をしないといけないのかっていうのを考えて動かないといけない。僕らも会社も一緒なんじゃないのかなって思います。

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ベテランでも考える姿勢が必要だと

廣瀬

また年齢を重ねれば重ねるほど、やり方もわかって、自分のペースっていうのもできてくるから、コーチも言わなくなるケースもあります。それで自分だけになるとキツくなりますね。なので、年齢や立場など関係なく、言ってくれる人の存在は大切にしないといけないと思います。

Hint! file22 廣瀬純氏

グラウンドレベルの熱を届けたい。

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2017年からプロ野球解説者になられました

廣瀬

改めて野球を勉強させてもらっていますね。ピッチャーの配球もそうですけど、カープの野球、カープの練習、カープの作戦しか知らないので。初めてキャンプで色々な球団を訪問して、練習の方法だったり、メニューの組み方だったりと、知らない野球の取り組み方を学べておもしろいです。今は色んなことが吸収できるチャンスなのかなと思います。

――

カープの見方も変わりますか?

廣瀬

一軍を見る機会が多くなったので、チームの方針だったり、作戦だったり。現役の頃は基本的に打てばよかったんですけど、今は解説者として自分ならこうするなどの意見も言わないといけないので。トータルで見た時に打線の組み方や、一年間戦う上でどのような戦略を立てているのか、考えながら見るとおもしろいですね。

――

カープの選手はいかがでしょうか?

廣瀬

どの選手もセンスがあると思います。色んなセンスがありますよね。精神的なセンスや強さのセンスもそうですし、続けられることもセンスだと思います。

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その中でも違うなと感じる選手は?

廣瀬

菊池なんかはセンスもそうですけど、元々持っている身体能力の高さが違う。変な言い方ですけど、野山を駆け回っている子が、そのまま野球をやっている感じ(笑)。感覚・感性の塊ですけど、プレーをする準備もしっかりやっていますからね。だから、あんなすごいプレーや補殺記録を出せるんだと思いますよ。

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2016年にブレイクした鈴木選手はいかがでしょうか?

廣瀬

誠也も自分に厳しい選手ですよね。でも変顔したりする、チームのムードメーカーでもあるので。この子が打てば間違いなくチームは勢いに乗りますね。そのような色んなセンスを持った選手が多いですかね、カープには。

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解説をする上で、現在考えられていることはありますか?

廣瀬

僕はグラウンドに行くことを心掛けていますね。僕が行くことで色んなことを話してくれる選手もいるので、選手が思っていることをファンに伝えられるようにしたいなと思います。

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そのように考えられたきっかけは?

廣瀬

菊池の打席を見て自分が感じたことと、本人が感じていることを聞いてみた時に、菊池選手の感覚でしかわからないことがあって、自分本位でしゃべってはいけないんだなと感じました。やはり取材をしていないとグラウンドレベルの話を伝えることができないので。引退したことで、また野球をやりたいなとか、プレーしたいなとか、結局野球が好きなんだなって思いました。改めて野球でないと伝えられないこともあるんだなと考えさせられたので、その部分も伝えていきたいですね。

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解説者として、今後のカープに期待することは?

廣瀬

選手個々人の力も感じるし、誠也のように若手の成長もあります。これからどんどん強くなっていく期待はありますね。だからこそ、3,4年後のカープはどうなっているんだろうかなということも気になりますね。

――

目標はありますか?

廣瀬

目標というより夢になるんですけど、自分が解説している時に、優勝が決まってほしい。あるいはいい場面に出くわしたい。サヨナラヒットだったり、ノーヒットノーランだったりに居合わせたいなと思いますね。球場の熱気や歓喜を、僕の解説でファンに届けられたら、最高ですね。

Hint! file22 廣瀬純氏

2017.4 掲載

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