file17 安芸戦士メープルカイザー(広島県ご当地ヒーロー)

児童虐待防止を訴える広島県のご当地ヒーロー。子供の頃から特撮ヒーローに憧れを抱き、特訓に特訓を重ねた末、ヒーロー・メープルカイザーに変身した。「子ども虐待防止運動」「子育て応援運動」を目的に広島県内でイベント活動をしており、オレンジリボン運動の広島県公式ナビゲーターを務めている。子供達の声援と笑顔がパワーの源。大好物は、子どもたちの声援、広島お好み焼き、もみじ饅頭。
安芸戦士メープルカイザー公式サイト

やり遂げた“無謀な挑戦”

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『児童虐待防止啓発 広島横断200㎞マラソン』お疲れ様でした(2014年2月7日ゴール)。このマラソンは、どういうきっかけで始めようと思ったのですか?

メープル
カイザー

あるとき、児童虐待防止活動の一環でオレンジリボンの配布をしていました。そのときに、私と一緒に写真を撮ったご家族にオレンジリボンを渡そうとしたのですが、「いらないです」と断られたんです。そういう人がたくさんいて、オレンジリボンの認知度や児童虐待防止の意識がまだまだ低いことに愕然としました。

――

オレンジリボンの意味を知っている人は、全国でも少ないかもしれませんね。

メープル
カイザー

どこかにいて配布するのではなく、自分で動かなくちゃいけないと思いました。そんなとき、虐待防止を訴える日本一周マラソンに挑戦している甲斐英幸さんに出会って刺激を受け、自分もマラソンに挑戦しようと思ったんです。日本一周は無理でも、広島横断ならできるかなと。

――

実際に挑戦して、大変だったんじゃないですか?

メープル
カイザー

はい。スタートして3㎞で音を上げました(笑)。トレーナーにも私の体型はマラソンに向いていないと言われていて、無謀な挑戦だったのかもしれません。県庁からスタートしてマツダスタジアム辺りまではメディアの方々が付いてきてくれたんですが、その先は孤独で、かなりへこたれていましたね。「この挑戦は失敗したかなぁ」と思いながら最初は走っていました(笑)。元々、何一つやり遂げたことのない男ですからね。

――

それでも、200㎞完走をやり遂げました。

メープル
カイザー

初めて嫁さんに誉められました(笑)。途中で車に乗るようなインチキもせず、人目のない山道もしっかり走りましたよ。多くのメディアに取り上げて頂いたおかげで、たくさんの人が応援してくれて、苦しくても頑張ることができました。マラソンでの啓発活動を通して、メープルカイザーが児童虐待防止を真剣に訴えていることを明確にしたかったし、もっと多くの人に知ってもらいたかった。

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悲しみから生まれた希望のヒーロー

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メープルカイザーとしての活動を始めたきっかけは?

メープル
カイザー

2010年から活動をしているんですが、その当時も広島で虐待事件が多くて、自分の子どもが生まれてから、虐待事件と子どものことを重ねて考えるようになりました。

――

児童虐待防止を訴えるヒーローというのは全国でもめずらしいですね。

メープル
カイザー

僕が助けを求めていた仮面ライダーのようなヒーローになりたかったんです。僕自身、親族から虐待を受けて、施設で育ちました。施設には親がいなかったり、虐待を受けていた子がたくさんいて、表面上はキレイに生活しているんですが、皆ストレスが溜まっているので、影で凄いいじめがありました。口を塞がれてコンパスで太ももを延々と刺されたり、えんぴつ削りのカスをご飯に乗せられて食わされたり…家で虐待を受けている方がマシだと思いましたね。

――

今でも悲しい経験をしている子どもたちがいると思います。

メープル
カイザー

僕がいた施設には自転車がなくて、学校に行ったときに僕だけ自転車に乗れなかったんです。それで周りから馬鹿にされて、凄いストレスを感じていました。虐待を受けた子どもを保護して終わりではなく、その後の子どもたちをよく見てくださいと行政や関係者の方に強く訴えています。

――

児童虐待防止を訴えるだけでなく、施設にも訪れていますね。

メープル
カイザー

僕が乗りたかった自転車だったり、いつも足りていない紙おむつなどを持って行っています。施設には赤ちゃんや幼児も多いので、すぐに紙おむつが無くなってしまうんです。頻繁に変えることはできないので、お尻がただれてしまう。それでまた泣き止まずに、おしっこをして汚す…この繰り返しです。この状況を少しでも改善したいと思っているんですが、もっと多くの人の協力やお金が必要ですね。

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啓発のために格闘する日々

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活動をしてきて、最初の頃と今とで変わった部分はありますか?

メープル
カイザー

最初の頃は周りから馬鹿にされていましたね。イベントでも「そこら辺でやって」という感じで(笑)。それから新聞やテレビで取り上げられるようになって、多くの人から応援されるようになりました。オレンジリボンを配っても捨てられていたんですが、お菓子と一緒に配るだけでちゃんと持って行ってくれるということも学習しました。効果的な啓発の手段をいつも模索しています。

――

ヒーローショーの内容も変えていると聞きます。

メープル
カイザー

始めの頃は「ショーがつまらない」とはっきり言われましたからね…子どもは正直ですよ(笑)。子ども向けのショーだけど、子どもだましではなく本気でやっています。内容も怖い敵が出てくるだけじゃダメ。子どもを守るヒーローとして、子どもが泣くようなショーにはしたくないですね。

――

ご当地ヒーローとして、プロレスにも参戦していますね。

メープル
カイザー

僕が施設にいた頃、新日本プロレスのアントニオ猪木さんが試合に招待してくれたんです。試合が終わって控室に挨拶しに行ったとき、猪木さんに頭をなでてもらったのが嬉しくて忘れられなくて、そこからプロレスが大好きになりました。小さい頃からリングに上がりたくて体を鍛えましたが、背は伸びないし体は大きくならない。でも、メープルカイザーとして活動を始めてから色々なプロレス団体から誘っていただけるようになって、自分の夢がひとつ叶いました。

Hint! file17 安芸戦士メープルカイザー

これからも子どもの笑顔を守る

――

今後の目標や挑戦したいことを教えてください。

メープル
カイザー

もう少し行政を動かしたいですね。普通の人が行政を動かすのは難しいと思うんですが、メープルカイザーならできるんじゃないかなと。ただ、行政にも限界はあるので、任せっきりにするのではなく、地域の人たちが結束して児童虐待防止の意識を高めていくことが必要だし、そのお手伝いもやっていきたい。

――

メープルカイザー自身の意識も変わりましたか?

メープル
カイザー

子どもの笑顔を守るヒーローになりたいと思って活動していたんですが、大人が笑ってくれないと子どもも笑ってくれないんですよね。親が怖い顔をしていると子ども笑えない。この4年間、マスクの中から色々なものを見てきました。

――

これからも多くの人が応援してくれると思います。

メープル
カイザー

メープルカイザーは児童虐待防止のための手段のひとつなので、もっと色々な情報を発信して啓発していかないといけない。事件が起きたときだけでなく、継続的にやっていく必要があると思います。悲惨な事件でなくなった小さな命を無駄にしたくない。

Hint! file17 安芸戦士メープルカイザー

2014.9 掲載

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